サボテンとは
日本へは江戸時代初期に渡来したと言われている
サボテン(仙人掌、覇王樹、シャボテン等の呼称でも呼ばれる)ですが
サボテンというとあなたはどんな姿を思い浮かべますか?
遠方から見ると人型にも見えてしまう柱状のものでしょうか…
トゲトゲだらけの丸い球状のものでしょうか…
一般的にサボテンというと
アロエや他の多肉植物も含めて総称されてしまうことが多いものですが
ここではもう少し正しくサボテン科(cactaceae)の植物について
認識を深めていきましょう。
乾燥地帯の植物では似た形態を示す物も多くみられますが
私たちがサボテンを見分ける方法の一つとしてサボテン科の特徴でもある
アレオーレ(刺座)と呼ばれる綿毛や微細なトゲに包まれたものがあります。
刺の生えている植物と言っても多種多様ありますが
刺座があり、そこから刺を伸ばしてくる植物はサボテン科独自のものです。
サボテンとは広義では多肉植物に含まれるのですが、
属や種の多さから独立して扱われています。
多肉植物については 多肉植物ってなぁに に詳しく書いてありますので
そちらも是非ご覧ください。
分類
学術的にはサボテン科(Cactaceae)に属するこの植物群は
分類学的に3つの亜科に大別されており
コノハサボテン亜科(Peireskioideae)
ウチワサボテン亜科(Opuntioideae)
ハシラサボテン亜科(Cereoideae)
となっています。
コノハサボテン亜科(Peireskioideae)
杢キリン等に代表されるコノハサボテン類です。
幹、枝、葉からなりたち一見普通の樹木と大差がなく見分けづらいものですが
葉の基部に刺座(アレオーレ)とよばれる刺や毛が密生した部分があることで、
簡単に見分けることができます。
貯水組織がほとんどない為、乾燥には他のサボテンほど強くなく
ウチワサボテンやハシラサボテンに進化する前の原始的なサボテンといわれています。
ウチワサボテン亜科(Opuntioideae)
大丸盆等に代表される一群で茎が明らかに多肉化し、
節状になってつながり成長していきます。
茎節と呼ばれる部分ですが、この茎節が平たくて円盤状のものや
円筒状、球形などの種類があり根部も肥大して養分や水分を蓄える種もあります。
新しい茎節には刺座の部分に多肉化した小さな円錐形の葉がみられる物もありますが、
非常に取れやすく成長に伴い脱落してしまう事がほとんどです。
成長力も非常に旺盛な物も多く国内でも軒下や路地植えで繁殖しているほどです。
また、刺には微小な反しが無数についており刺さると抜けづらく
残った刺から炎症を起こすことがあるので
この一群のサボテンは取り扱いには要注意です。
面白い品種も多いのですが、、、
この刺ゆえに手を出しかねているものも多々あります。
ハシラサボテン亜科(Cereoideae)
この一群は茎や幹が極度に多肉化し、柱状や球状のものなど
サボテン園芸の中でも一番人気のあるものたちです。
エキノカクタスやフェロカクタスのように大型で発達した刺があったり
ロフォフォラのようにまったく刺を持たない小型品種まで多様な特徴を備えています。
ハシラサボテン亜科の中に例外的に熱帯雨林気候で樹木等に着生して育つ
クジャク類、カニバサボテン類、リプサリス属も含まれており
稜が2~3と少なく茎が昆布の葉のようにみえるものや
茎が細い紐(ひも)状になるものがあります。
これらは実生すると発芽時の苗の特徴からこの一群の仲間であることがわかります。
分布
さて、ではサボテンはどんなところに自生しているのでしょうか
南・北米大陸とその周辺の島々の乾燥した地域に自生しています。
現在、サボテンの北限はカナダのアルバータ州から
パタゴニア南端が南限になっています。
特にメキシコは日本でも人気のある球形種が多数自生しており
サボテンと言えばメキシコと思う人も少なくないはずです。
熱帯雨林性の葦サボテンの一部がマダガスカル~スリランカあたりまで
分布していますしガラパゴス島にも固有のサボテンがありますが
これは例外的で鳥などに運ばれた種子が独自の進化を遂げた物と思われます。
アフリカやオーストラリア等の地域にも
野生の状態で繁茂しているウチワサボテンなどが見られます。
これらは外部から持ち込まれた物が帰化植物としてコロニーを広げたものですから
原産地とは言えません。
まとめ
大まかにサボテンと言う植物について書いてみました。
初めはなんとなくかもしれませんが
大所帯のため他の多肉類とは分けられて扱われていることを
理解していただけたらと思います。
またサボテンは分類学的にも一つの科として存在していますが
多肉植物の一員なんです。
多肉植物(succulents)と言う呼び名は
その定義、特徴から呼ばれている物の総称だとお考えください。
実際ユリ科やヒルガオ科を初め
色々な科にまたがって多肉植物と呼ばれる物は存在します。