寄生植物ってなぁに?

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寄生植物とは

 

陸上に生育する植物の多くは光合成により光から生育のための養分を作り出していますが

なかには光合成をせずに他からの経路で栄養を摂取して生育する植物があります。

 

・生きた植物から養分を摂取するものを寄生植物(palastic plants)

・根に共生した菌類(菌根菌)から養分を得ているものを腐生植物(saprophytic plants)

 

と呼んでいます。

 

 

寄生植物は他の植物に寄生し、宿主となる植物から栄養分を吸収して

生育する植物のことです。

一般的な植物の根とは違う寄生根と呼ばれる特殊な根で

宿主の組織と結合して栄養分を横取りして成長するのです。

 

・半寄生といわれる

ヤドリギのように葉緑素を持ち光合成によって自分でも合成す養分を合成するタイプ。

・全寄生といわれる

ラフレシアのような葉緑素を持たず光合成をしない100%宿主から養分を得るタイプ。

 

ざっくり大きくですが寄生植物にはこの2タイプに分けることができます。

 

寄生植物は被子植物のビャクダン目(ヤドリギ等)やシソ目 (ハマウツボ等) に多く見られ

裸子植物では現在2種のみが知られており、

寄生植物全体では約280属4000種程が知られています。

 

 

宿主

 

 

栄養を吸収される側の植物、寄生する対象のことを宿主植物 (host plant) と呼び

その宿主は、わずかに裸子植物が対象になる例があるものの

ほぼ種子植物それも被子植物です。

 

アニメ等や都市伝説なんかでは人間から発芽して成長に伴い人間を乗っ取ってしまう

なんてものを見かけましたが、実際には動物に寄生するものは知られていません。

 

菌類に寄生するものもあるのですがこちらは腐生植物の記事をご覧ください。

 

世界最大の花として知られるラフレシアはブドウ科植物に、

条件の合った場所では大群落も見られることのあるヤッコソウは

シイノキなど宿主を限定して選ぶ寄生植物も少なくありません。

 

ススキ等に寄生させて栽培することも可能なナンバンギセルのように

イネ科やショウガ科など幅広い種属を宿主とするものもあり、

さらには多数の双子葉植物に寄生するネナシカズラ類などのように

川原の草地や空き地の雑草群の中で大繁殖している例もあります。

 

 

 

 

形態

 

ここでは全寄生と半寄生の大別した2系統の傾向で書いてみます。

 

全寄生植物には寄生根と花以外の部分が退化したものが多く

開花期にならないと発見できない物も多く存在します。

葉があるものでも大抵は極小さく鱗片状になり茎に密着するようについています。

 

また、蔓性のものは寄生根から蔓を伸ばし花を着け、

地中で宿主に糸状の細胞列を食い込こませたり、

食い込ませた地下茎から花を咲かせるものもあります。

 

半寄生植物では大抵、葉などの退化はさほど見られず普通の植物のように見られます。

特に根に寄生するものの場合、結合部分が見えない為に寄生植物であるとは思えないものも

数多く存在します。

 

 

 

実用性と害

 

 

意外と知られてはいませんが香木としても有名なビャクダンは半寄生植物です。

お香の材料や木工品に利用するためにインドを中心に栽培されていますが

栽培は大変困難であるためインド政府により規制がかけられています。

 

その他、園芸的にナンバンギセルが栽培されたり、一部のマニアが奇妙な形態に魅かれ

熱心に栽培を試みている例があります。

 

確か、西洋でもヤドリギを特別な植物として扱う例があったと記憶しています。

 

 

被害例としては、やはり農作物への寄生が元で収穫量の減少等が問題になる例が多く

有名なところでは半寄生のストライガーが穀物類へ被害を与えたり、

全寄生のオロバンチェはマメ科植物やヒマワリ、トマト、タバコ等に寄生し、

共に根に寄生するため除草剤が使用できないために駆除も困難で被害が拡大しているのです。

 

 

 

 

まとめ

 

 

特に園芸的からの視点ですが

寄生植物、、、特に全寄生は腐生植物と並び興味深い形態、生態を示す物が多く

栽培に挑戦する人が増えることを願っている一群の植物です。

 

腐生が栽培不可能と言われるほど困難なものに対して

現にススキに寄生させて栽培されているナンバンギセルがあるように

寄生は宿主の栽培が出来れば可能性は高そうです。

 

ちなみに私もラフレシア科といわれている

Hydonora africanaの種子を導入してEuphorbia capt-medusaeに寄生させる

挑戦をしています。

宿主の成育状況に変化が出たので、

もしかしたらヒドノラの地下茎が食い込んでいるかもしれません。

 

普通の栽培に比べるとかなり特殊な植物群ですが

是非、視野に入れてみてください。

 

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