CAM植物とは

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CAM植物

 

Crassulacean Acid Metabolism

 

 

名称の由来

 

 

CAMとはなんなのでしょう。

Crassulacean Acid Metabolism (ベンケイソウ型有機酸代謝)の略で

私たちの様に多肉植物マニアにとっては馴染みの深いセダムやエケベリア、クラッスラ等の

ベンケイソウ科植物で、リンゴ酸含量が夜間に増し昼間に消失する現象が19世紀に発見され

この科の植物に特有な代謝として研究されたことで同じCAM型光合成を行う植物をCAM植物と呼びます。

CAMはベンケイソウ科植物に限らず多くの植物にみられる代謝です。

 

 

 

CAMの代謝

 

CAM型光合成のしくみ

 

一般的な植物は昼間に気孔を開いています。

そして空気中の二酸化炭素を吸収し太陽光のエネルギーを使って

デンプンやショ糖などの養分を合成します。

 

それに対してCAM植物は日中は気功を閉じ夜間に気孔を開いて二酸化炭素を吸収し

主にリンゴ酸という物質に変えてから液胞と呼ばれる場所に蓄積します。

そして昼間になると夜間のうちに溜めておいたリンゴ酸をふたたび二酸化炭素に戻し

デンプンやショ糖にします。

過酷な昼間に大切な水分を蒸発を抑えながら生き残るための仕組みになっているのです。

 

砂漠やそれに近い環境に生育している植物は十分に日光の光を得られますが、

一方で充分な水分を吸収することがかなり困難な所の場合が多々あります。

このような環境では、日照条件は充分でも二酸化炭素を吸収しようとして気孔を開くと

体内の水が蒸発して失われてしまうのです。

 

日中に二酸化炭素を吸収し直接養分を作りたいが、

糖の作り出すために必要な水分は蒸発させたくないのです。

 

余談になりますが、このような極地的な環境だけではなく

真夏の灼熱時にも多くの植物は午前中は光合成できるものの

昼間から夕方の酷暑時にかけては水不足で光合成を行えない状況に陥ります。

園芸でも水遣りは朝のうちにと言われるのはこのためです。

 

このストレスから逃れ、生き残るために環境に適応させた結果、

気温が低下して水分を失う事の少ない夜間に気孔を開いて二酸化炭素を吸収して

貯蔵しておき、昼間は気孔を開かずに光合成する植物がCAM植物なのです。

 

 

 

光合成

 

これについてはなんとなくは把握されているとは思いますが、、

植物の光合成にはまず、光・水・二酸化炭素が必要ですね。

植物はこれらから自分で栄養を作り出し、さらに酸素を吐き出すことで

我々動物も生きられる環境を作ってくれている、くらいは小学校で習いましたね。

 

ここではもう少し詳しく書いてみようと思います。

 

光合成とは太陽光を吸収して光のエネルギーを使い大気中の二酸化炭素と根や葉脈から

吸収した水分で酸素と糖類を作り出す作用(炭酸同化作用)の事を指します。

 

光合成は葉緑体内で行われる二酸化炭素の固定反応です。

この過程で水が酸素に酸化され、二酸化炭素は還元されて糖になります。

二酸化炭素から種々の糖が作られるのですがその際の還元剤として水素が使用されます。

そして

水からの水素の取り出しには葉緑素に吸収された光エネルギーが使用されるということです。

 

これら一連の反応が緻密に組み合わされて進行し、どれか1つの要素が欠けても

一連の反応は進行しない、、要するに栽培では生育が止まってしまい

衰弱し最悪は枯れ死することになります。

 

例えば、二酸化炭素と水が十分にあったとしても光が不足していると

その光の力に見合っただけの反応しか進まない、、、

生育が鈍るということになるのです。

 

 

 

CAM植物 まとめ

 

 

CAM植物は多くの科にまたがって存在しています。

ベンケイソウ科、サボテン科、ラン科、ツルナ科、トウダイグサ科、キク科、ユリ科などで

報告されていますが他にもまだまだあるようです。

我々多肉植物マニアにも馴染みの深い科を主に上げてみました。

 

これらの科の植物でも全てがCAM植物なのではなく

この中でも特に乾燥地帯に生育する多肉質の葉を持つ植物の一部がCAM植物です。

多数の科の植物で並行的に発達してきた代謝のシステムですが

もちろん同じ科の植物でもCAMの代謝システムであるもの、無い物があります。

 

このように多数の植物にみられる代謝システムの進化は環境条件によって

進化や退化をしていくものでしょう。

CAM植物CAM型光合成という生理機能と、

多肉質、、、水分を蓄える組織を持つという形態学的な特徴を併せ持つことから

砂漠や着生環境などの水分に関して悩みの多い

厳しい環境下で生育する植物に多くみられます。

 

 

 

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