コノフィツム ブルゲリ(Conophytum burgeri)とは
コノフィツム ブルゲリ(Conophytum burgeri)もまた
リトープスをはじめとする球型メセン類同様「生ける宝石」と言われ、
最も有名な多肉植物のひとつと言っても過言ではありません。
また多肉植物栽培家の間でも一番人気ともいえる
極めて美しい植物です。
形態、特徴
扁平な富士山型で透明な球体、
厳冬期から休眠期間近になると真っ赤に色づく個体も在り
ルビーのようであまりに美しく、これが生きている植物なんだろうか、と
初めて見る人は感嘆の溜め息をつく植物。
それがブルゲリです。
ブルゲリの大きさは成球でおおむね直径3cm程度になり
最大サイズの個体はレモン大になると文献には書いてあります。
本当にそんな大きさになるのか?とはなはだ疑問でしたが
うちでの最大サイズが直径5.5センチを記録しているので
大げさな表現ではなさそうです。
他の球型メセンと同様、秋から春に生育して夏場は休眠します。
春の休眠直前には球体に張りがなくなり非常に軟らかくなり
腐ったんじゃないかと不安になるくらい皺がよってくるのですが、
しかしその下では新しい球体が次の生育期に向けて育ってきており
脱皮→成長→休眠→脱皮というサイクルを年々くりかえすのです。
その軟らかくなった古い球体の水分は新しい球体に吸収され
乾燥してタマネギのような薄皮をかぶった状態で休眠に入ります。
この薄皮には自生地でも乾季である夏場の光線から身を守り
日焼けを防ぐ役割をしているのです。
栽培下では
その透明な美しい姿を楽しむ為にこの薄皮は大抵剥かれてしまうものですが
剥いた場合は日焼けを防ぐ意味でも僅かに遮光する必要があります。
この表皮を剥がすには、成長を始めた秋口、球体に張りが出た時に
表皮を十分に濡らしてから綿棒やティッシュ等で優しく擦ることで
球体を傷つけずに容易に剥がすことができます。
花はうちでは晩秋から冬にかけての数日間、午後に開花しています。
他のメセン類と同様、松葉ギクのような形の花を着け
色は花弁がピンクで中心に向かうにつれて白くなります。
自家受粉はほぼしないので、私は花粉がよく出ている時を見計らい
細い筆等で異株の雄しべと雌しべをコチョコチョしており
結実は容易で、しばらくすると
透明な球体の中で子房が膨らんでくるのが見えるようになります。
ブルゲリは他のコノフィツムのように分球して増えてはくれません。
たまに2~3頭に増える株もいますが分球した翌年にはダメになることも多いです。
私が見た群生で一番多い頭数は6頭ですが
極めてまれな例だと思っています。
株分けによって増やすことが困難である為
繁殖は実生が基本になってきますので
実生や栽培方法に関しては別記事を参照してください。
分布、自生地
ブルゲリの自生地は南アフリカのNamiesberg(ナミエスベルグ)の北西、
Aggeneys(アハネス、、、現地人はアッハニーと発音しているらしい)
ただ一箇所しか知られていません。
ダイヤモンド鉱山近くのAggeneys農場の敷地内でしか発見されておらず
ブルゲリと言う名の由来は農場主であり、本種の発見者でもある
W.Burger氏の名前からつけられました。
土壌は石英質の砂地で、現地へ行った友人の話ですが
一見、乾ききった土地のようでも10~15cmも掘れば
水がにじんで来る状態のようです。
ちなみにうちのブルゲリは現在、すべて私の実生苗で
自家採種も繰り返し、もう何世代か世代交代もさせています。
最初はやはり何度も失敗を重ねましたが、成功のきっかけになったのが
上記の現地における土壌状態が大きなヒントとなり
これまでの栽培方法を一新したことでした。
実生3年くらいの苗動画です。
https://youtube.com/shorts/104NzepHMho
ショートムービーをのせておきますね。
特に凝った編集もしませんし、お見苦しい点も多々ある
栽培中の植物のみの記録的な動画ばかりになりますが
私のYouTubeチャンネルになりますので良かったら登録していただけると嬉しいです。
まとめ
ブルゲリは単頭で植えるなら3号鉢で充分です。
ですから場所もとらず、極めて美しい、サボテンみたく痛く無いので
植物を育てたことがない人でも欲しくなってしまうかもしれないですね。
ただし栽培にあたって容易ではない一面があるのも確かです。
体の90%以上が水分という、とても水好きな植物である反面
腐りやすい特性も備えています。
要するに、ブルゲリの休眠中である日本の高温多湿の夏場を
どう過ごさせるかが重要なポイントになってきますから、
初めての人は他のコノフィツム等で
感覚を掴んでからの方がスムーズに栽培できると思います。
とは言え
欲しくなったらどうしようもないという気持ちも痛いほどわかります。
そんな時は是非このサイトを参考にしてください。
そして質問等がありましたら
お問い合わせ欄からメッセージをいただければ個々に対応させていただきます。
ブルゲリは私にとっても
それほど特別な品種のひとつです。
是非この存在を知り、栽培方法もマスターして欲しい
貴重で、類まれな存在感を持つ植物だと思います。