ウェルウィッチア ミラビリス ( Welwitschia mirabilis ) 奇想天外(キソウテンガイ)
奇想天外(キソウテンガイ)とは
アンゴラからナミビアにかけてのナミブ砂漠の海岸近くに自生する
1属1種の雌雄異株の植物です。
近縁の種属といえる品種もなく、
あえていえばグネツム目マオウ科が近縁といわれています。
発芽時の双葉以外は、樹齢1500~2000年とも言われる終生、
対になる硬質の葉を延々と伸ばし続けていく魅力的な変わり者です。
自生地には奇想天外以外にこれといって目立つ植物もなく特異な景観から
昆布が陸に上がった物だとか、、、宇宙からの生物だとか、、、(笑)
色々と都市伝説的な言われ方もされています。
現在はワシントン条約付属書Ⅰ類からはずされてしまいましたが
以前は貴重な品種として、特に自生地のマザープラントと呼ばれる
推定樹齢1500年の株は厳重に柵で覆われていました。
とはいっても自生地をみると若い苗の成長繁殖も大して見られず
現在も保護が必要な状況であることは変わらないと思うんですが、、、
形態と生態
自生地の奇想天外の親株を見ると葉が縦に裂けている物が多く
何枚もの葉があるように見えますが実際には2枚の葉なんです。
終生、対になった二枚の葉のみをうねらせながら伸ばし続け、
その姿は他の植物には見られない異様な雰囲気があります。
そこが栽培意欲を駆り立てられるのです(笑)
目立った貯水組織を持つわけではありません。
これには地下部分に乾燥地帯でも生き抜く秘密があります。
一昔前までは栽培には土管が必要といわれていました。
奇想天外はそう言われるほど長い直根を地中深くに伸ばす為です。
けして乾燥に強いわけではなく、砂漠の地中深くにある水脈や伏流水から
常に水分を得る為にこのように根を発達させて生き延びているのです。
花は地味で松笠状の花芽から目立たない小さな花をつけ虫媒によって結実します。
雌雄異株ですので雌株にのみ結実した種子は分布を広げる為に
松や楓にも見られるような羽根をつけた形状です。
強い陽光と水、高温を好み、寒さには弱いといわれます。
確かに最低気温は5℃以上あったほうが無難ですが、耐寒性もそこそこあります。
栽培した限りでは成長は鈍るものの
凍結させたり、あまり長時間低温にさらさない限りは大丈夫なようです。
ちなみにうちの場合、冬季は栽培場内は日中以外は5℃を割っている場合も多々ありますし
一時的ですが氷点下を割ることも珍しくありません。
詳しい栽培にあたっては
ウェルウィッチア ミラビリス ( Welwitschia mirabilis ) の実生方法
ウェルウィッチア ミラビリス ( Welwitschia mirabilis ) 誰もやらない そらりす式植え替え方法1
ウェルウィッチア ミラビリス ( Welwitschia mirabilis ) 誰もやらない そらりす式植え替え方法2
の記事を参照してくださいね。
栽培
奇想天外は昔から栽培困難な品種だと言われてきました。
私は砂漠の植物であるがゆえに
サボテンや多肉植物の栽培方法を当て嵌めようとしたためだと思っています。
まず用土の乾燥を嫌います。大嫌いといってもいいくらい。
奇想天外で水分過多が原因による根グサレは見たことがありません。
そして仔吹きは一切しないので繁殖は実生のみになります。
実生に多少のノウハウが必要なためになかなか増えず、苗が出回らないということから
栽培する人口も増えずに来たことが難しいイメージが定着してしまったと思われます。
実際の栽培においては
日当たりと高めの温度、そして絶対に水切れをさせなければ大丈夫で、
病虫害もなく肥料の効きも良いし
非常に栽培容易な品種です。
まとめ
派手さは無いけれど、知ってしまえば頭から離れず
とても気になる植物が奇想天外で、私も例に外れずその一人です。
そして貴重な植物であることも間違いありません。
ウェルウィッチア ミラビリス ( Welwitschia mirabilis ) の実生方法にも詳しく書いてありますので
是非とも種子を入手して実生から育てていただきたい品種です。
一端コツを掴んでしまえば
後は2000年、じっくりとこの植物と付き合って行ってくださいね(笑)